「食中毒」と言えば梅雨の時期から夏場に起こるもの、というイメージをお持ちかもしれませんが、実は年間を通して起こっているのです。食中毒の原因は約4割が細菌、約5割がウイルスで、冬場に起こりやすい種類もあります。今回は食中毒の種類と油断しがちな冬場の注意事項についてまとめました。

食中毒の種類と起こりやすい時期

下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす食中毒には、次のような種類があります。
・細菌性食中毒……サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など
・ウイルス性食中毒……ノロウイルス、ロタウイルスなど
・自然毒食中毒……フグ毒、毒きのこ、じゃがいもの芽の部分など
・化学性食中毒……農薬、洗剤、食品添加物、水銀・鉛など
湿気の多い梅雨どきや夏に食中毒が増えるのは、高温多湿を好む細菌がぐんと増殖しやすくなるためです。一方で冬に起こりやすいのがウイルス性食中毒。細菌と違って寒くても湿気がなくても活発に増えるのがウイルスです。ウイルス性食中毒のうち最も多い発生原因はノロウイルスで、牡蠣などの二枚貝の生食で起こり、少量でも感染しやすく一気に拡大するため患者数も最多となります。
他にも、季節を問わず調理の仕方で起こるものもあります。
・カンピロバクター……主に鶏肉の生食、加熱が不十分な肉
・腸管出血性大腸菌……汚染された食品(惣菜など)、生や加熱が不十分な肉など
・ウェルシュ菌……カレーやシチューなどの煮込み料理など
・黄色ブドウ球菌……汚染された食品(おにぎりなど)
なお、自然毒は春や秋に増える傾向があります。

冬場の食中毒の防ぎかた

食中毒予防の三原則は細菌やウイルスを「つけない・増やさない・死滅させる」ことです。

つけない

爪の先や指の間、手首など、手をまんべんなく丁寧に洗うようにしましょう。調理に使う器具や食器、手を拭くタオルなどを清潔に保つことが重要です。特に生の肉に触れたものは、加熱しないで食べる食材としっかり分けておきましょう。

増やさない

細菌は特に、30℃台など人肌に近い温度で湿度の高い場所を好みます。冬場でも暖房器具の近くでは細菌が増えやすい環境になります。食材や料理の粗熱が取れたら冷蔵庫や冷凍庫に入れ、細菌が好む温度帯をなるべく速く過ぎるように冷やしましょう。で増えるため、冷蔵や冷凍を利用して菌の増殖を防ぎましょう。

死滅させる

多くの細菌やウイルスは、しっかりと加熱することで死滅させることができます。食材の芯の部分まで火や熱を通すようにしましょう。しかし中には加熱しても毒素が残るものもあるため、まずは「つけない」「増やさない」を徹底することが重要です。また、アルコール消毒で多くの細菌・ウイルスを消毒できますが、ノロウイルスは死滅しないため、こちらもやはり「つけない」ための工夫を意識しましょう。
そして同時に、食中毒に負けないよう、食事・睡眠・適度な身体活動での体の土台作りも忘れないでくださいね。特に冬場は冷えによって胃腸が弱りがちです。温かいメニューでは食材にもしっかりと火を通すので、胃腸を労わりながらの食中毒予防にもつながります。

フードコーチ情報

写真
國枝加誉
管理栄養士・健康食育シニアマスター・一汁一菜研究家
詳細はこちら

関連する記事